YouTube で講座を配信して、本当に大丈夫ですか。
この記事の目次
結論から言います。
YouTube の限定公開動画を「お金を払った人にだけ渡す」運用は、規約違反です。 チャンネル停止になれば、受講生も巻き込まれます。 動画の置き場所は、Vimeo の Starter プラン(月 $12 前後)に移すのが現実解です。
ちなみに、これは私の知り合いの講師の方が去年、実際に止められた話でもあります。 ご商売の根幹に関わる話なので、感情を抜いて整理しておきます。
「みんなやっているから大丈夫」が、いちばん危ない
オンライン講座、オンラインサロン、有料セミナーの見逃し配信。 中身を YouTube の限定公開動画で配って、URL を「お金を払った人にだけ渡す」方法。
たぶん、これを読んでいる方の半分くらいは、心当たりがあると思います。 便利だし、慣れているし、再生は安定するし、無料で置けるし、周りの講座運営者もみんな使っている。 これだけ揃っていれば、選ばない理由のほうが少ない。
ただ、便利と、規約上認められている、は別の話です。 ここを混同したまま数年運営すると、ある日突然、足元が崩れます。
YouTube 規約のどこに引っかかるのか
YouTube 利用規約の「許可と制限事項」には、こう書かれています。
本サービスまたはコンテンツのいずれかの部分に対しても、アクセス、複製、ダウンロード、配信、送信、放送、展示、販売、ライセンス供与、改変、修正、またはその他の方法での使用を行うこと(明示的な許可がある場合を除く)。
引っかかるのは「販売」「ライセンス供与」「アクセス」の三語です。
限定公開動画の URL を、受講料を払った方にだけ渡す。 技術的には Google も認める動作です。 ただ、Google はそれを「YouTube のコンテンツへのアクセス権を販売している」と解釈します。
正確に言うと、Google が公式に用意しているのは、チャンネルメンバーシップと有料コンテンツ機能です。 これを使わずに、外部で受講料を集めて限定公開動画を配る運用は、規約の枠の外です。 明文で「禁止」と書いてあるわけではないのですが、解釈の上ではアウト側に置かれます。
具体的に、どこからがアウトか
実際の運用に置き換えてみます。
次のような使い方は、規約の上ではアウト側に入ります。
- オンラインサロンの会員だけが見られる動画を、限定公開で置く
- 受講料を払った方にだけ動画 URL をメールで配る
- 会員制サイトに、限定公開動画を埋め込む
- 有料セミナーの見逃し配信を、参加者だけに限定公開で渡す
逆に、次のような使い方は問題ありません。
- 一般公開動画として誰でも見られる状態で置く
- 限定公開でも、お金が絡まない範囲で関係者に渡す(社内回覧、家族向けのまとめ動画など)
- YouTube 公式の有料機能(メンバーシップ、有料配信)を使う
差は一つだけです。「お金を払った人だけが見られる仕組み」になっているかどうか。 ここを境に、グレーから黒に変わります。
違反すると、何が起きるか
実際に起きうるのは、次のようなことです。
- 動画の削除
- チャンネルへの違反警告
- 警告が3回積み重なると、チャンネルそのものが停止
YouTube は通報とシステム検知の両方で動いています。 受講生の方が悪意なく動画 URL を SNS に書いてしまった。 解約された元会員の方が腹立ち紛れに通報した。 そういう小さなきっかけで、ある日いきなり、止まります。
そして、チャンネルが止まった瞬間に、これまで蓄えてきた受講生向けの動画は、全部、見られなくなります。 配信側だけではなく、お金を払ってくれた受講生の方も、です。
ここが、いちばん怖い部分なんですよね。 ご自分が困るだけならまだ覚悟もできますが、お客様にも迷惑が及ぶ構造が残っている。 これは個人差ありますが、お客様への信頼を回復するのに、半年〜1年かかります。
それでも YouTube を使ってしまう理由
責めたい話ではありません。 理由は分かります。
- 慣れている
- 動画の置き場所として無料
- 再生も安定している
- 周りの講座運営者もみんな使っている
これだけ揃っていれば、選びたくなって当然です。 私自身、新しいサービスに移るのが面倒で、半年くらい先延ばしにした経験があります。
ただ、便利と、規約上認められている、は別の話です。 そして、規約は YouTube 側が決めるもので、こちらは従う側にあります。 数年単位で講座を続けていくなら、置き場所は、規約の側から見て安全な場所にしたほうがいい。 これは結論として、書いておきます。
では、どうするか
代替の選択肢はあります。 動画の置き場所として、有料講座やサロン運営に正式に対応しているサービスを使う方法です。
選び方の基準は、次の三つで考えるとシンプルです。
- 利用規約で「有料配信」「会員制配信」を許可しているか
- 動画の埋め込み先を、自分のドメインに制限できるか
- 月額が、続けられる範囲に収まっているか
このうち、個人事業主の方が現実的に使えるのは、Vimeo です。
Vimeo は規約上、有料コンテンツや会員制サイトでの利用を許可しています。 埋め込み先をドメイン単位で制限する機能も、有料プランに含まれています。 具体的な使い方とプラン選びは、別の記事に書きました。
ここから先は、現場で選んでください。 Vimeo 以外にも Wistia や Brightcove のような選択肢はありますが、月額や運用負荷を考えると、最初の一歩は Vimeo Starter が無難です。
Mirais では、置き場所と受講管理を別々に持ちます
Mirais では、動画講座を運営される方が、動画の置き場所と、受講生の管理を、別々に持つ構成をおすすめしています。
具体的には、動画は Vimeo に預けて、受講管理と視聴ページは Mirais の会員ページで持つ。 こうしておけば、片方に何かあっても、もう片方は無事です。 動画も、受講生も、両方を一つのサービスに預けてしまうと、そのサービスが止まった瞬間に全部が止まります。
「全部入り」のサービスは便利ですが、便利と、安全は、これも別の話なんです。
まとめ
要点は三つです。
- YouTube の限定公開動画を、お金を払った人にだけ渡す運用は規約違反です。
- 違反が積み重なると、チャンネル停止のリスクがあります。受講生も巻き込まれます。
- 動画の置き場所は、Vimeo に移すのが現実解です。Starter プラン(月 $12 前後)から始めれば充分です。
「みんなやっているから大丈夫」では、いつか足元をすくわれます。 ご商売を長く続けるなら、置き場所だけは、正しい場所に整えておく。 そのほうが、結局、楽です。
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Mirais チーム / 風間