個人事業主の確定申告、3 月に泣かない月次の整え方。
この記事の目次
経理担当の黒田です。
先にお伝えしておきたいことが、3 つだけあります。
- 月次(毎月末 30 分)で、その月の領収書と入金を整える
- 週次(毎週金曜の 10 分)で、レシートをためない仕組みを作る
- 年次(11 月と 1 月)で、確定申告の予行演習を 2 回やる
この 3 段階で、3 月の本番は「提出するだけ」になります。
以前、「領収書、ためこんでいませんか」という記事を書きました。月末の 30 分だけ整える、というお話です。今日はその続きで、月に一度の 30 分を、確定申告まで自然に積み上げていく方法をお話しします。
実は私も、最初の数年は 2 月の終わりに泣いていました。3 年めの 2 月の夜、机に山積みになった封筒を前にして、何から手を付けたらいいか分からなくて、コーヒーが冷めるまで固まっていたんです。あの夜のことは、いまでも覚えています。
今は同じ時期に、同じコーヒーを温かいうちに飲みながら、静かに作業しています。何が変わったかというと、能力ではなく順番でした。
なぜ 3 月に泣くのか
毎年 2 月の半ばを過ぎたあたりから、知り合いの個人事業主の方からこんな相談をいただきます。
「黒田さん、今年こそはと思っていたんですが、また年が明けてから慌てていまして」 「銀行口座の入出金、12 ヶ月分まとめて見ていて、もう何が何だか分からなくなりました」 「青色申告にしたいんですが、間に合いますかね」
理由を伺っていくと、ほとんどの方が同じところでつまずいています。「年に 1 回、まとめてやろう」と思っているところです。
これは、能力の問題ではありません。記憶の問題でもなくて、構造の問題なんです。
人間の記憶は 1 ヶ月でかなり曖昧になります。3 ヶ月前のレシートを見て「これ何の打ち合わせだったかな」と思い出せる方は、たぶんいません(これは個人差ありますが、私は無理でした)。それを 12 ヶ月分まとめてやろうとするから、必ず詰まるんです。
月次(毎月末 30 分)でやること
ここからは具体的なお話です。
毎月、最終週の金曜日か、月初の最初の月曜日。ご自分が落ち着けるタイミングを「経理の日」として決めてしまいます。私は月末の金曜の午前中に固定していて、コーヒーを一杯入れて、机に向かう。それだけです。
その 30 分でやることは、5 つだけです。
一、領収書を全部出す
財布・カバン・郵便受け・引き出し。「ここに入れがち」という場所を全部見てまわります。私の場合、なぜか冷蔵庫のマグネットに 1 枚はさまっていたりするので、油断できません。
二、4 つに分ける
「お仕事」「私用」「保留」「破棄」の 4 つ。迷ったら無理に決めず「保留」に入れて、翌月に持ち越します。
三、銀行口座を一度だけ開く
ネットバンキングで、その月の入出金を眺めます。クライアントさまからの入金、サブスクの引き落とし、カード払いの確定額。「あ、これ経費に入れ忘れていた」が必ず 1 つか 2 つ出てきます。
四、合計だけメモする
ノートでもスマホのメモでも構いません。「2026 年 5 月:売上 ¥320,000 / 経費 ¥87,500」のように、合計を一行だけ。これがあとで効きます。
五、レシートをスマホで撮る
紙のレシートは、思っているより早く色あせます。私は感熱紙のレシートを 2 年前の引き出しから見つけて、もう真っ白になっているのを見たことがあります。月末に一気に撮影しておくと、紛失への保険になります。
合計で 30 分。慣れると 20 分で終わります。
週次(毎週金曜の 10 分)でやること
月次だけだと、月末にやっぱり詰まる方が出てきます。私もそうでした。「月末 30 分」と決めたのに、その日が忙しくて飛ばして、結局 2 ヶ月分まとめて、と崩れていく。
それを防ぐのが、週次の 10 分です。
毎週金曜の夕方、お仕事を終える前に。
- 今週たまったレシートを、まとめて 1 つの封筒に入れる
- スマホで写真を撮る(freee や マネーフォワード を使っていれば、その場でアップロード)
- カード払いした覚えのあるお店を、メモに書き留める
これだけで、月末の 30 分が本当に 30 分で終わります。やってみると、肩の荷が下りる感覚があります。
「今週も整った」という小さな安心が、毎週積み上がるんです。
年次(11 月と 1 月)でやること
ここが一番大事で、ほとんどの方が飛ばしているところです。
確定申告の予行演習を、2 回 やります。
1 回目:11 月の最終週
その時点までの 1 月〜10 月分の数字をざっと見ます。
- 売上の合計はいくらか
- 経費の合計はいくらか
- ざっくりの利益はいくらか
- 12 月までの見込みを足すと、所得税はどれくらいになりそうか
ここで「思っていたより税金が多そう」と気づければ、12 月のうちに対策(小規模企業共済の追加掛金、ふるさと納税、必要な備品の購入)が打てます。3 月になってからでは遅いんです。
正確に言うと、ふるさと納税は 12 月 31 日まで申し込めるのですが、人気の自治体は 12 月の半ばで品切れになります。11 月のうちに見当をつけておく、というのが現実的なところです。
2 回目:1 月の第 2 週
12 月分の領収書が出揃ったタイミングです。
- 1 年分の合計を出す
- 控除に必要な書類(生命保険・国民年金・国民健康保険・医療費・寄附金)を 1 つの封筒にまとめる
- 「あれが足りない、これが足りない」を、2 月中旬までに集める
3 月に提出する頃には、もう数字は固まっています。提出ボタンを押すだけです。
クラウド会計ソフトの位置づけ
freee や マネーフォワード などのクラウド会計ソフトについて、よく聞かれます。
私自身は、月の売上が 30 万円を超えたあたり、もしくは税理士の先生との連携を始めるタイミングで導入されることをおすすめしています。それより前は、ノートと封筒で十分です。
月額は 1,000 円〜 3,000 円くらい(プランによって変わります)。銀行口座とカードを連携すると、入出金が自動で取り込まれます。
便利な道具です。ただ、便利すぎて「中身を見なくなる」のが落とし穴で、私自身が陥ったところでもあります。最初の年、freee に丸投げしていたら、12 月に開いたときに「あれ、この経費って何だっけ」が大量に出てきて、結局手作業で見直すことになりました。
道具に任せても、月に一度は開いて、合計だけでも目を通す。これだけ守れば、3 月は穏やかです。
Mirais では、リズムをそっとお知らせします
「分かっているけど、毎月続けるのが大変で」という声を、いちばんよく聞きます。
Mirais では、月次・週次・年次の経理リズムを、ちいさなリマインダーとして組み込めるようにしていく予定です。「金曜の夕方、10 分の経理時間」「月末金曜の 30 分」「11 月最終週の予行演習」を、ご自分のスケジュールに合わせて静かにお知らせします。
押し売り的に通知が鳴る仕組みではなく、ご自分の手帳の余白に「今日はこれ」と置いておいてくれる感じです。
経理は、お仕事の主役ではありません。だから、目立たない場所で、邪魔をせず、ただ続けやすくする。それが Mirais の役目だと思っています。
まとめ
3 月に泣かないために大事なことは、3 つです。
- 月次(30 分) で領収書と入出金を整える
- 週次(10 分) で、月末にためない仕組みを作る
- 年次(11 月と 1 月) に 2 回、予行演習をする
完璧でなくていいんです。私自身、月末の 30 分を忘れる月もまだあります。そのときは翌月に取り戻せばいいだけです。
来年の 3 月、ご自分にお礼を言いたくなる日が、たぶん来ると思います。
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Mirais チーム / 黒田